1. おもてなしの館、京都迎賓館の魅力に迫る

おもてなしの館、京都迎賓館の魅力に迫る

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永井 雄一

京都の観光について内部の京都人だからこそ知っている情報を分かりやすく発信します。地元のエキスパートだからこその皆さんが知らない京都の中身を分かりやすく解説していきます。

京都大学大学院 経営管理 修了

同志社大学 商学研究科博士課程

京都名建築の一つにも数えられること多い京都迎賓館。

テレビを通してだけでなく、実物を見たいと思われる方も多いのでは?

ただ、迎賓館は常に一般公開しているわけではありません。またチケットの競争率も高く、そもそもどうやってチケットを取るのか、いくらなのか?そんな疑問もあると思います。

そんな疑問に答えつつ、京都迎賓館の見どころをお伝えしていきます。

京都迎賓館とは

歴史 

京都迎賓館は、1994年10月に「国立京都迎賓館」として建設され、2005年4月に開館。

場所は江戸時代に公家の邸宅が建っていた京都御苑の敷地内に建設されています。

建物は和風建築として設計されており、南側は表(公の場)北側を奥(私的施設)と位置づけ、建物の南半分には、会議、会談、晩餐、管理施設があり、北半分には賓客の宿泊のための施設が配置されています。

一般公開になって12年ほどになります。歴史は浅く感じられるかもしれないのですが、日本の伝統的な歴史建築が隅々にまで施されているので、日本の歴史建築のすばらしさを感じることができます。

迎賓館の用途

海外からの賓客を日本文化、歴史を象徴する京都でお迎えし、日本への理解と友好を深めて頂くことを目的に建設されました。それに伴い日本に住んでいる方々にも日本の歴史の奥深さを知っていただくために一般公開になったのかもしれませんね。

アクセス

都府京都市上京区京都御苑23 

・電車利用の場合

  ◆京都駅より烏丸線で、地下鉄「今出川」駅下車3番出口より徒歩15分

  ◆京阪電鉄利用の場合 京阪電鉄「出町柳」駅下車1番出口より徒歩15分

・市バス利用の場合

「府立医大病院前」バス停下車車徒歩約5分(京都駅からのアクセスの場合、4,17,205系統のバスを利用)

また、バスが混んでいなければ、京都の景色を堪能しつつ京都御所へ向かうことができます。

4系統のバスで上賀茂神社方面から来られる方は、京都北山の、のどかな風景を眺めつつおしゃれなカフェが立ち並ぶ通りを通って、下賀茂神社が現れて、しばらくすると、京都の繁華街四条河原町へと風景が流れていきます。私、個人的には4系統の上賀茂神社からくると比較的空いていてゆったりと景色を堪能できます。というのも、京都のバスは残念ながらよく混んでいます。

とくに通勤時間帯の205系統はどちらの方面からでも人が満員です。ただ、本数が一番多く、1本乗り過ごしても5分も経たずに次がきます。少し待ちはしますが、空いているバスに乗るのもおすすめです。また、205系統は七条通を通るので昔からの京都の家々を眺めつつ、商店街を眺めながら走行することが可能です。

17系統に関しては百万遍、銀閣寺道を通りながら街を一望できます。昔からバスは京都の人の足となっているので、皆さんよくバスを利用します。

昨今では海外からのバックパッカーの方も多く、比較的混んでいない時間帯といっても土日は朝6時~朝9時頃までです 平日は朝9時頃~朝11時頃の間でそれも日によって違ってきます。

ただ、バスは乗り継ぎ、乗り換えも便利で、地下鉄とバスの乗り継ぎなら、料金が安くなります。

京都はバスで観光できたら最高だと思います。車であれば道を間違えないように運転に集中してしまい、せっかくの京都の風景を堪能するのが難しくなりますし、電車は地下鉄がメインですので風景は見ることが難しい…こういった理由から私は料金もタクシーより安い、朝早くのバスをお勧めします

・タクシー利用の場合

京都駅より京都御所清和院御門前の梨木神社前下車し、徒歩3分

*京都駅からの料金は約2,000円。

・車の場合

  ◆中立売西駐車場

   烏丸通(京都御苑西側)に面しています。

   営業時間 7時40分から19時30分(24時間出場可能)

   駐車台数 乗用車250台 バス20台

  ◆清和院東駐車場

   寺町通(京都御苑東側)に面しています

   営業時間8時40分から20時(20時以降閉鎖)

   駐車台数 乗用車80台

  ◆駐車料金

   3時間まで500円、以降1時間ごと100円(普通車)

   3時間まで1,300円、以降1時間ごと200円(大型車)

   詳しくは国民公園協会京都御苑へお問い合わせください

    電話 075-211-6364

・駐車場はどちらがおすすめ?

中立売西、清和院東どちらもさほど変わりはないといえますが、烏丸方面から車で来られる予定でしたら清和院東が近くなります。逆に二条方面からだと中立売西がおすすめです。

また、堀川通の方が川端通よりも若干車どおり、人通りは少なめなので、中立売西の駐車場へ向かう方が車は走らせやすいかもしれません。川端通は京都のメインストリート。徒歩の方もとても多く、商店街なども近いためバス、車の往来が激しいです。

一般公開はいつ?

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そもそも一般公開される日程がひと月に5日~長くて10日前後となっています。しかも公開予定だった日程に急遽接遇が入った場合は中止となります。内閣府のHPに「当面の公開日程カレンダー」

(URL:http://www.geihinkan.go.jp/geihinkan/kyoto/koukai-kyoto.html#Schedule)があり、常に更新されているので、こまめにチェックするのがおすすめです。

今年の12月以降の一般公開の日程

現在12月7日~12月12日までの公開が決定となっており、12月1日~5日に関しては未定となっています。来年以降は1月5日までは非公開、6日以降が未定となっています。また、自由参観方式ではありますが、公開日の各日12時から英語のガイドツアーも行っています。

例年の日程

例年10日間程度の公開だったのが、通年公開へ変更になっています。それに合わせてチケット倍率も比較的落ち着いてきたようです。平成17年には倍率が30倍ほどありましたが、現在は数倍程度と落ち着いてきています。ひと月に大体5日~10日前後日程が設けられています。

どうやってチケットを取れるの?

事前予約の方法

インターネットによる事前申し込みになります。(電話での申し込みは不可)注意したいのが、参観したい日程の1~2か月前には予約は締め切られてしまうので要注意です。インターネットによる定員は1,300人で、予約多数の場合は抽選となります。

(2017年12月までの事前インターネット予約はすでに10月30日で締め切られています。年内12月に行きたい方は当日受付に並ぶしか方法はありません。来年以降の予約を取りたい方は常にHPをチェックされるのが良いでしょう )

価格

自由参観の場合

大人 1,000円 中高生 500円 (団体 大人800円 中高生 400円)

ガイド観覧方式の場合

大人 1,500円 中高生 700円 (団体 大人1,200円 中高生 600円)

当日券

当日受付(当日整理券配布)があります。定員は700名先着順となっています。2017年に行かれる方はインターネット予約が終了しているため、当日券のみとなります。

自由参観方式 

  当日10時~先着順に入場受付時間を指定した当日整理券を京都迎賓館にて配布。定員700名 おひとり様19枚まで配布(配布時間は当日の混雑状況、天候などにより変更する場合あり、また残りの枚数によっては、19枚すべてを同じ時間帯でとれる確約はないので注意が必要です)当日受付による入場は12:00より開始予定。

ガイド観覧方式

  こちらも、当日10時頃から先着順です。ガイドツアー開始時間を指定した当日整理券を京都迎賓館にて配布。

定員 300名 おひとり様6枚まで配布(こちらも配布時間は当日の混雑状況、天候などにより変更する場合あり)当日受付による入場は11:45より開始予定。ガイド開始の30分前までに西門を通過してください。

注意点

自由参観方式ガイド観覧方式があり、日程によって自由観覧方式でなくガイド観覧方式が指定されています(こちらで指定することは不可)ので注意ください。定員、料金、時間が変わります。

自由参観方式とは?

各部屋順路に沿って自由に観覧できるのが参観方式です。

個人での申し込み(1名~19名)

時間10:00~10:45, 11:00~11:45, 14:00~14:45

団体申し込み(20名~50名)

時間12:00~12:45, 13:00~13:45, 15:00~15:45

ガイド観覧方式とは?

各部屋を係員の案内によりご覧いただく参観方式です。

見学時間は60分程度のガイドツアーとなります。(ガイド観覧方式については基本15分おきに出発するようですので詳しい時間帯は設定されていないようです)

持ち物検査があります。

年内のガイド観覧方式は現在予定されていません。

基本的には館内へ入る際にアナウンスで、カメラとスマホ以外は全て預けるようにという指示があります。ロッカーが設置されており、100円を投入するのですが帰る際に戻ってきます。(小銭は用意しといたほうがよさそうです)

また、気を付けたいのが財布も預けないといけないことです。あまり大金を入れて持ち歩くのは控えたほうがよさそうです。また、館内への入室はスリッパで入室します。(スリッパは迎賓館で用意されているので必要ありません)

 

京都迎賓館の見どころ

外観

歴史的景観や周辺の自然環境との調和を図るため、日本の伝統的な住居である入母屋(いりもや)屋根と数寄屋造りの外観となっています。

歴史的建築様式を再現しており、敷地が広く、周りに邪魔な建物が一切ないため、その姿に圧倒されること間違いなし。堂々たる門構えとその広さに脱帽してしまいます。

入母屋とは東アジアの伝統的な屋根形式の一つと言われている造りで、数寄屋造りとは茶室を取り入れた住宅の様式のことをいいます。京都を代表する伝統技能者の技が生かされた外観となっており、数寄屋大工、左官、作庭、截金(きりかね)などの匠の技が隅々にまで活かされた建築物になっています。

日本庭園について

京都迎賓館の庭は、一言でいうと、「どこを切り取っても絵になる!!」ことだと思います。各部屋から望む景色はまるで様々な地域を渡り歩いているかのよう。庭は池を中心として造られており、賓客を迎える上で必要な導線を確保しつつ、日本文化のすばらしさを伝える工夫が随所にされています

また庭には加茂七石という石が使われており、その中の一つに真黒石というものがあります。その真黒石は迎賓館の掘削工事の際に出てきたものを再利用するなど、京都人の「もったいない」精神も垣間見ることができます。

迎賓館の室内すべてから庭を見ることができるので、各部屋からみる庭園のすばらしさに目を奪われること間違いなし。

内装

【聚楽の間】

晩餐会や会合が行われる際に待合室として使われる部屋です。集まった人たちが心安らかに過ごせるようにと願って名付けられています。

こちらには八角形のテーブルが置いてあり、このテーブルは竹編組物と呼ばれる技法で造られています。細かく裂いた竹を編む技法で、よくみると菊の模様にみえるのだとか。強度も要求されるため、しなやかで折れにくく厚さや幅も均一でなければなりません。竹という素材本来の美しさ、しなやかさを表現しつつ、実用的に造られています。

日本の伝統文化を生かしつつ、日本独自の慎ましやかでどことなく強さも兼ね備えた逸品。

【夕映の間】

主な役割は会議室ですが、晩餐会の待合など多目的に使用されます。壁面は可動式で臨機応変な室内チェンジが可能

また、比叡山と愛宕山の夕景で彩られています。縦2.3m×横8.5mの綴り織で表現されています。遠くからみると一枚の絵画のよう。原画の持つ情緒を織物にしたためられており、製作には1年かかったのだとか。山の稜線は境界線を目立ちにくくするために色を入れるのではなく、縦糸と縦糸の間にできる隙間で色調を崩さない「ぼかし」を表現する等、様々な織の技術が活きています。

また比叡山には374色もの糸が使われており、愛宕山には325色の糸が使われているのだとか。決して華美や華やかではない印象ですが、繊細かつ鮮明な美しさがそこにはあります。

【藤の間】

洋食を提供する晩餐室として造られました。

幅16.6m 高さ3.1mの綴れ織りの壁面装飾「麗花」が飾られています、39種類の草花がおりこまれているそうです。(桜、藤、牡丹、菊等)

床の段通にも花びらが舞い散っています。とても優雅で、部屋と調和する落ち着いた色合いとなっています。細やかな気遣いが随所に備えられつつ、品の良さが感じ取れる装飾となっています。

【桐の間】

和食を提供する晩餐室です。この部屋に使用されている畳は、なんと京都迎賓館のために育成したイグサを使って作られています。テーブルの下は海外の賓客にもくつろいでいただけるよう掘りごたつ式になっています。

なんといっても見どころは室内に置いてある一枚仕上げの座卓

長さは約12m!!漆を磨く仕上げには3人の職人が3日間かかりきりで仕上げ、搬入にも50人以上がかりで息を合わせて持ち上げねばならなかったようです。鏡のように反射する漆塗りの座卓に息をのむ方も多いのでは?

【水明の間】

会談室として利用されています。テーマはその名の通り「水」。

池にせり出して作られた部屋は開放的で、天井を船底に見立て、波紋様の絨毯を敷いてテーマに沿った部屋の造りになっています。目を引くのは近未来的な天井のオブジェ

天井の照明に対してそれぞれの面に光が当たるようになっています。オブジェは全部で30個あります。宙に浮いているようにも見えます。とても明るい印象の部屋で、すべての会談、会合が前向きで実りのあるものでありますようにと願って造られているかのよう。

 

最後に

日本のおもてなしの心と技術の高さがわかる迎賓館。日本文化を代表する建築物であることがお分かりいただけたでしょうか?テレビ越しではなく、皆さんも京都迎賓館にぜひ一度足を運んで見てはいかがでしょうか。

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